真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ』読了。表紙が気になって手に取ったんだったかな。読みやすい文体だったので、手に取ってからは早かった。
よかったのは、するする読める語り口だったこと。Togglによると2時間足らずで読み終えたらしい。女子高生の一人称視点で描かれる砕けた文章がそうさせたのかも。固定ファンはいるもののメジャーデビューには至れない、もどかしくも生ぬるい状態にある地下アイドルの心理描写に、ところどころやけにリアルな雰囲気があって面白かった。もちろんわたしは実際に地下アイドルの内部事情を知ってるわけじゃないので、これは「リアル」ではなく「リアル『な雰囲気』」だとしか言えないけど、なるほどなあと思わせる説得力があった。
うーん、となったのはラストの展開かなあ。物語が動き始めるまでにけっこうボリュームが割かれていたので、相対的に最後に物足りなさを感じて「え、これで終わり?」となった。大団円ではない、かといって後味が悪いというほどでもない、なんとも言えない感じ。最終話とエピローグ、どちらかだけでもいいからもうちょっと展開が欲しかった。でもこういうのはこういうので好きな人もいるんだろうな。
一番の見せどころと思われるトリックは、序盤から「たぶんこれはこういうことなんだろうな」と穿った目で見てしまっていた自分には大どんでん返しとはならなかったけど、良かったと思う。うまくミスリードを誘っているな〜と思った。
ああでも、ここも伏線かと思いきや特にそんなことはなかったぜ的な点がけっこう多かったのは気になったかな? メフィスト賞をとった作品ということで自分が変に穿った見方をしてただけかもしれないけど。それもあって「え、これで終わり?」感がいっそう強くなったんだな。たぶん。
全体としては面白く読んだので、他の作品にも触れてみたいなー。折りたたむ