2023-05-17

母と2人で映画館へ。目的は、浜田省吾のライブ。

1988年8月20日に静岡県浜名湖畔「渚園」で行われた野外ライブの映像に、4Kリマスターと5.1chサラウンドミックスを施して編集し、全国の映画館で上映するというもの。母に誘われて前売り券を買い、観ることにした。

母は昔から浜田省吾が好きで、カーステレオでよく『MONEY』や『J. BOY』を流していた。おかげで自然とわたしも彼の歌を好きになったけど、自ら熱心に情報を追ったりライブに通ったりすることは何故かなく、浜田省吾という存在を《お母さんが好きなミュージシャン》の枠に置いたまま、この歳まで生きてきた。だから、動いて歌って、しゃべる彼を見るのはこれが初めてだった。

上映が始まり、ギターを携えた彼が現れて最初の歌声を発した瞬間、正直、後悔した。も〜〜〜〜〜なんで今までライブに行かなかったんだろう!? こんっっっっっなにかっこいいのに!!

わたしの中で浜田省吾といえば、ギターとサングラス、工業地帯のオイルと金属のにおい、泥臭くてかっこいい生き様、といったイメージだった。でも、この歳になってよく聴いてみればそれだけではなくて、温かく優しいかっこよさも併せ持った人なのだと分かる。

ねぇ、寒くはないかい?
君の夜をおくれよ 俺の朝をあげるから
浜田省吾『終りなき疾走』より

かっ……こよすぎる……。難しい比喩を使うでもなく、長々と言葉を尽くすでもなく、これだけ簡潔なフレーズでこんなにドラマチックな表現ができるなんて。
同じ曲の中に、こういうフレーズもある。

立ち上がって踊ろう
俺の肩に もたれていいよ 倒れやしない
同上

この「倒れやしない」が本当に良いと思いませんか? 直前の「もたれていいよ」という穏やかな語尾と相まって、優しい力強さがある。かっこいい!! とにかくかっこいい!!

歌詞だけでなくライブのパフォーマンスにも同じ良さがあった。ストイックに歌を聞かせた後、会場を埋め尽くす観客に向かって「座っていいよ」と穏やかにうながしてからバラード曲へ移るところとか。ステージを縦横無尽に駆けて歌いながら、時折ふっと笑うところとか。見ていて胸がぎゅっとなった。いいなあ。素敵だなあ。

後で調べたところ、今回上映された88年のライブ当時、浜田省吾は35歳だったらしい。それを知っていろいろと納得した。35歳といえば、今のわたしより少し年上だ。そんなんもう、ぎゅっとなるわけだよ。めちゃくちゃにかっこいいもん。

よく考えれば、母にとっての彼は昔からずっと《少し年上のロックミュージシャン》なわけだ。この上映のおかげで、母の目から見た浜田省吾を少しだけ感じることができた気がして、嬉しかった。

上映後、2人で目をハートにして「かっこよかったねえ……」と語り合い、復刻版のツアータオルを1つずつ買ってにまにまと眺めた。今も精力的にライブ活動を続けている彼は、この秋にアリーナツアーをするらしい。母と、チケット応募しようね!当たったら一緒に行こうね!と固く約束したところ。生きる楽しみが1つ増えて嬉しい。

こんなふうに、日々の合間にチェックポイントのように楽しみを用意して、なんとかやっていけたらいい。とりあえずはそれで幸せだ。

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