2023-03-07
三代目 J SOUL BROTHERSのライブツアー、福岡公演初日。
公演は夕方からなので、連番予定の関東の友人と早めに待ち合わせて、映画『BLUE GIANT』を観に行った。2人とも原作を読んだことはなく、「ジャズのお話」というくらいしか知らない状態で臨んだ。
ものっっっすごく刺さった。鑑賞後にお昼ごはん(中華料理)を食べながら、「良かったね……」「すっ……ごく良かったね……」としみじみ語り合った。
主人公のサックスプレイヤー、宮本大は、光と闇に喩えるなら圧倒的に《光》側の人間。もはや太陽そのものみたいなキャラクターだ。ピアノの沢辺雪祈とドラムの玉田俊二がそれぞれの壁にぶつかって苦悩するのに対して、大ちゃんは悩まない。最初からすべての答えが分かってるみたいに、真っ直ぐ進んでいく。映画化に伴ってカットされたエピソードも多いだろうから、原作でどうなのかは分からないけど、少なくとも劇場版では、一切の迷いを見せない。それが、わたしにはあまりにも眩しく映る。
かといって雪祈と玉田くんを身近に感じるかといわれれば、それもちょっと違う。だって、2人がもがき苦しむさまもまた眩しいから。雪祈はスカしたような言動が目立ち、なんでもスマートにこなしているように見える(し、本人もそう振る舞っている)けど、その実、水面下でひたすら泥臭い努力を続けている。玉田くんは「2人とジャズをやりたい」という気持ちひとつを原動力にして、大ちゃんと雪祈に必死で食らいついている。共感するのさえおこがましいと思うくらい、かっこいい。
ライブシーンの表現のすばらしさは前評判で聞いていたとおりで、その迫力にただただ飲み込まれて、純粋な感動によって涙が出た。同時に、原作ファンの人たちのことがうらやましくなった。わたしは映画を先に観たから、今後原作に触れても、紙面からはこの音しか聞こえてこないだろう。でも原作を先に読んでいる人たちは、頭の中でそれぞれの《宮本大の音》を聴いてきている。その音と、劇場版の大ちゃんの音を照らし合わせる体験は、きっと楽しかったことだろう。いいなあ。できることなら記憶を消して、原作を読んでからもう一度劇場版を観てみたい。
夕方からのライブももちろん最高だった! 公式グッズのペンライトは明日受け取る予定なので、代わりにひたすら腕を振り上げて、たくさん踊った。今回連番した友人とは数年前から仲良くしているんだけど、ライブを一緒に観るのは今回が初めて。予想通りに楽しくて、友達になれてよかったなあとあらためて思う。
ここ数年間、いわゆる《推し》のような感じで自分なりに一番に応援してきた方が、去年の秋に芸能界を引退した。それ以来なんとなく心のどこかが妙に冷静になったというか、我に返ってしまった感覚があって、現場も「まあ、行けたら行くか」くらいのモチベーションに落ち着いていた。でも、やっぱりライブは楽しい。華やかな演出とともに好きなアーティストが目の前に現れて、きらきらしたパフォーマンスを見せてくれる。わたしはただそれを一方的に享受して楽しんでいるだけなのに、ステージの上の彼らは「ファンの皆さんの顔が見られて嬉しい」とか「応援のおかげで頑張れる」とか、笑顔でこちらに感謝を述べてくれる。まるで双方向のコミュニケーションが成立しているかのような気分にさせてくれるのだ。
彼らの言葉を嘘だとは思わないけど、事実としてアーティストとファンが受け渡し合うものの天秤は全く釣り合ってなんかいない。でも、彼らはいつも本気で——少なくとも本気だと信じられる形で——感謝を示してくれる。わたしが彼らを応援することに意義はあると、今この瞬間のわたしに存在価値はあるんだと思わせてくれる。
ありがたいことだと、ライブに来るたびに思う。今日、そのことを再確認できた。