2023-02-13
漫画『カカフカカ』最終巻を読んだ。1年半ほど前に発売していたんだけど、なんとなく買わずにいたのだった。
こんな感じで、最終巻だけ読まずに年単位で寝かせるとか、アニメやドラマを観るのを最終話の直前でやめてしまうとか、そういうのを時々やってしまう。「読んだら(観たら)終わってしまうのがもったいない」みたいな心理があるのかもしれない。あるいは、結末の想像がつくところまで見届けた時点で、急激に興味を失ってしまっているのかも。後者だとしたら、わたしはけっこう薄情な人間だ。
さておいて、『カカフカカ』の最終話は満足のいくものだった。いや、ひとが創ったものに対して満足とか不満だとかいうのは偉そうな気もするんだけど、とにかくわたしは満たされた。作者の石田拓実さんが後書きで『思ったより長くなりました』と書いているように、わたしも1巻を読んだときの印象よりもずっと長く続いたなと思ったけど、丁寧にじっくりと登場人物の心の動きを追っていく話運びがすごく好きで、この12巻はわたしに充足感を与えてくれた。
特にどこが好きかって、主人公に共感を覚えるところ。『カカフカカ』は男女4人で暮らすシェアハウスを舞台にしていて、彼らの恋愛模様が見どころのひとつではあるんだけど、わたしはどちらかというと、自分のことをちっぽけだと感じている主人公、寺田亜希が前を向いて歩くことを覚えていく、その歩みにものすごく感情移入して、メンタルケアのような気持ちでこの漫画を読んでいた。
亜希は自己評価が低く、自分を卑下する癖がある。彼女と、ルームシェア相手の1人である栗谷あかりとの会話を初めて読んだとき、刺さりすぎてしばらく身動きできなかった。
「……昔ちょっと 自分にすごい価値があるように思ってた時期があって……ほんと意味なく自信満々で でも 時間がたつにつれて現実見えてきたってゆーか
言ってみれば 自分にすごい高価な値札貼ってたら上からどんどん値引きシール貼られてった感じで いっぱい重ねられてすごい安くなったシールがいかにもみじめで それで……」
「……だから それならいっそ最初から かなりやっっすい値札を貼って出すことにしたって?(中略)寺田さんて余計なほうにプライド高いってゆーか 結構自意識過剰なのね(中略)
それアレでしょ? カラオケで歌う前に 今日は朝からノドの調子悪いとか この曲初めてだけどとか わざわざ言う奴みたいなもんでしょ? 最初にハードル下げて逃げ道確保しときたいのは分かるけど そもそもこっちはハードル自体掲げてないから ……それにアレよ 安い値札ついてたら『ああ 安いんだ』って思うわよ」
「(中略)逆よりはマシでしょう? だってホラ……いかにもしょぼそうなものにお高い値札ついてたら……」
「(中略)わざわざ低く見せなくても大抵の人は寺田さんの値札とか興味ないから で 興味ある人は値段交渉可能だから」
『カカフカカ』3巻より
……いや、今読んでもぶっ刺さるな。うつむいて、自分に粛々と値下げシールを貼っていく感覚、とても分かる。そのシールを1枚ずつ剥がしていくのが、目下の目標。